診察


「…やっほー、ドクター」
「ん? どうしたんだい太乙。珍しいじゃないか1人でうちに来るなんて」
「ね、ちょっと聞きたいんだけどさ」
「何?」
「耳鳴りが止まらないのって何か病気?」
「そういう場合もあるよ」
「ふぅん」
「…………」
「…………」
「……で?」
「………………診てくれないか」
「もっちっろっん!!」
「…はー…テンション上がった雲中子って苦手なんだけど」
「まあまあそう言わずにさ。耳鳴りだって?」
「なんでそんな生き生きしてるの」
「自然の摂理って奴さ(嘘)。で、そんなひどいのかい?」
「君に診てもらおうと思うくらいひどい」
「それは余程だね」
「でしょ」






耳鳴りじゃないんだけど一時的にあたまの左側がぼーっとする。なんだこれ。
なんか嫌な感じ。あたまがおかしい(色んな意味で)のか。
こないだ実家に帰ったとき父親がひどい耳鳴りがするとか言って医者に薬を貰っていたがどうなっただろうか。頭の中に蝉がいるみたいだとか言ってたのでなんかヤバかったのかもしれない。狭くなった血管を血液の流れる音が聞こえてるんじゃないだろうかというのは勝手な憶測。


普通の人よりは頻繁なメンテナンスが必要な身体だったりします。つっても何か大きな病気を抱えてる人よりは通院をサボっても平気。
なので、健康すぎて風邪もひいたことないよ!って人よりもメンテが行き届いている。何か異常があったら「今度ついでに診てもらおう」と思う。やたら健康な人は病院が嫌いだったりして、大事な病気を見落としたりするんだ。
それよりは主治医と「どの薬が良い?」「○○ください」と商品名で会話ができるほうが便利なのかも知れない。







「なに警戒してるの」
「お前…注射器似合いすぎてコワイ」
「私に医者の役目押し付けてるのは君ら幹部だろ」
「わーった。その話は今度だ」
「じゃあ予防接種くらい大人しく受ける」
「分かってるよ」
「あ。指、逆。親指を中にして握るの」
「こうか?」
「そうそう。んじゃあ…ちょっとチクっとするよー…」
「………ッ」
「ん。えらいえらい。よく我慢したね」
「子ども扱いすんなよっ」
「ああ、ごめんごめん。まさか君が麻疹にかかってないとは思ってなかったから」
「悪かったな」
「はーい、じゃあ道徳くん、揉まないでしばらく押さえててね」
「……だからヤメロって」
「お大事にー」




そういえば最近の医者は注射(採血)をするときに「ちょっと痛いけど我慢してねー」とか「ちょっとチクッとするよー」とか言う。
子供の頃、医者が「痛くないからねー」と言いながらする注射がチクリと痛むので「嘘つき!!」と思ってそれ以来注射が嫌いになったのだが(中学生くらいになってやっと克服)、はじめから「痛いよ」と宣告されると楽だ。
刺す時はさすがに多少は痛いけれど、針を抜くときに全く痛くないときと、うっわ痛!ってくらい痛いときがある。針の太さによるのか、医師の腕によるのか分からないけど。抜くときの痛みのほうが苦手だ。





うちの雲中子は、そうやたら道徳や太乙で人体実験をしないな。それほど酷い奴ではない。比較的常識人なイメージもあるんだが、なぜだろう。